好評の「辛口海老カレー」や「特製チーズケーキ」「コーヒープリン」などもご用意しております。
【Bar Music Shibuya,Tokyo】18:00 ~ Midnight
「廣瀬大輔が特定のカテゴリーを設定して、それはアーティストであったりレーベルであったりジャンルであったり。Bar Musicのサイトに短いコラムと少しのディスクレヴュー、そして今DJでは、20時から23時までをテーマに沿ってプレイします。第15回のテーマはYusef Lateef」(廣瀬大輔)
2/12 Wed.
MUSICAÄNOSSA presents ANTHOLOGY <anthos+logia> VOL.15 Yusef Lasteef編
[DJ]廣瀬 大輔(ELLA RECORDS)
[at]渋谷 Bar Music
[info]03.6416.3307
http://barmusic-coffee.blogspot.com
※18:00オープン、着席の通常営業スタイルで20:00~23:00の開催です。
※事前予約またはご来店前にお電話でテーブルをおさえていただけますと幸いです。
※消毒、お客様着席時のグループ別ソーシャルディスタンスの確保、換気など、ウイルス対策へのご理解とご協力をお願いいたします。
※Entrance Fee ¥1000
廣瀬 大輔(Ella Records)
ヴィンテージ・レコード・ディーラー&ショップElla
Records所属。かつてはDANCE MUSIC RECORDのジャズ・バイヤーとして新譜を供給し、ライターとして“Jazz Next
Standard”シリーズや「Jazz MeetsEurope」、「500 Club Jazz Classics」、“Jazz The
New Chapter”シリーズ等の書誌や多くのライナーノーツ等へ新旧問わずジャズ/クラブ・ミュージックに関する執筆/寄稿、またDJ/選曲活動を行う。
【コラム】
Yusef Lateefが2013年に亡くなった際のニューヨーク・タイムズでの追悼文の中で、彼は「『ワールド・ミュージック』がその名前を持つ以前から『ワールド・ミュージック』を演奏していたミュージシャンであった」と述べられた。
彼はジャズにおけるフルートの本格的な使用を普及させ、今日もジャズ・フルートでは一般的に使用される声を交えた奏法の先駆者となり、更にはオーボエ、ファゴット、そしてアルゴールやその他のエキゾチックなリード楽器を使用した。
では、彼がいつから「異端のリード奏者」と呼ばれるような演奏者であったか。それを外から振り返って判別するのは難しい。普通はターニング・ポイントであったり、その過程となる作品などがあるが、彼はデビューから「異端」であったからだ。
Yusef Lateefは1957年、37歳の時に一気に8枚のリーダー・アルバム(A.K. Salimとのスプリット『Stable Mate』含む)をSavoy、Verve、Prestigeのために録音してデビューを飾った。それらは1957年の4月にニュー・ヨークで行なわれたセッション、そして10月のVan Gelderスタジオでのセッションと大きく分けられるが、彼のファースト・アルバムには、2番目に録音された『Jazz Mood』が採用された。ジャケットにはそのアルバムで実際に使用された非西洋圏の楽器が並び、ライナー・ノーツの書き出しはこうであった。
— 古代と現代のインドの声と楽器を、テナー・サックス、トロンボーン、ピアノ、ベース、ドラムという伝統的なジャズ・コンボのブレンドと融合させることで、デトロイト出身のテナー・サックス奏者ユセフ・ラティーフは、新たな演奏の領域を切り開いた。----
彼が音楽、ジャズに東洋の楽器やムードを取り入れた理由などはあまり明確に語られてはいないが、当時のライナー・ノーツや、過去のインタビュー記事から垣間見ることはできる。
彼は高校卒業の18歳、1938年からプロのミュージシャンとして活動を始めた。1948年にはほぼ1年間掛けてDizzy Gillespieのグループのメンバーとしてアメリカ国内をツアーし、その最中にイスラム教に改宗した。彼がフルートをジャズに取り入れたのは、アフリカ音楽からの影響だと語っている。また非西洋圏の楽器を取り入れたのはやはりイスラム文化の影響だろう。50年代に入ってから改めてウェイン州立大学でフルート、オーボエを学んだが、そこで東洋の音楽体系にも触れた。この時点で彼はまだ実際に海外に赴く機会はなく、デトロイト公共図書館で様々な国の音楽を聴き参考にしたという。さらに先へ進むべくStockhausenを研究したとも。また、インタヴューなどで複数回彼が言及しているのが、Savoyでの最初のレコーディング以降に自身の活動の場を広げるために他の文化の音楽を研究し始めた、ということ。これはあくまで「本格的に」ということだろうか。
ジャズと東洋、イスラム文化については第10回の「Jazz in Eastern Mood」でも触れたところではあるが、例えば彼が一時期所属していたDIzzy Gillespieはアフロ・キューバンの先駆者であり、Yusefが異文化を取り入れる土壌の1つとなったことは考えられるだろう。Yusefが東洋を取り入れる一方で、同じ時期にイスラムへ改宗したArt Blakeyは、Jazz Messengersとは別にAfro-Drum Ensembleを結成し、よりアフロ・ジャズを探求したが、Yusefもそこに参加している。
Yusef本人が自身の音楽に東洋を取り入れることは、単に音楽に異国情緒を取り入れたものではなく、それ自身の探求であったっと語っているように、西洋音楽と非西洋音楽という二項対立を崩し、ジャズの構造の中で発展させつつもその構造を固定せず自由度を広げ、東洋的な音楽観やイスラム文化の要素を組み込みんでジャズの定義自体を拡張した。最終的には彼はジャズという言葉を嫌悪し、独自の 「オートフィジオサイキック(Autophysiopsychic)」 という概念にたどり着く。その端緒は1960年代後半にデリダが「脱構築」を本格的に提唱するよりも随分と前であるが、1950〜60年代のヨーロッパでの西洋中心主義に対する批判、音楽に限らずの前衛な芸術の広がり、またアメリカにおいての人種問題からの自由への渇望などの要素を踏まえ、Yusef Lateefは当時の世界的な潮流であった「構造の解体」の気運の中で生まれたアーティストといえるだろう。
という訳で今回はYusef Lateef特集です。そういったYusefの異端な面だけでなく、ふくよかなトーンで奏でる素晴らしいバラードなども楽しめたらと思っています。ディスク・レヴューはYusefのデビュー年の8枚からの6枚です。よろしくお願いいたします。
【ディスク・レヴュー】
・Yusef Lateef / Jazz Mood
1957年4月9日録音。録音順としては2番目ながらYusef Lateefのファースト・アルバムに選ばれた理由としては、このジャケットに並んだ非西洋圏の楽器が表すように、彼の東洋的アプローチを打ち出したかったのであろう。このジャケットに写った楽器はすべて本作のレコーディングに実際に使用されたものだ。収録曲すべてがYusefによる作曲で「Metaphor」、「The Beginning」、「Morning」など。
・Yusef Lateef / Jazz For The Thinker
1957年4月5日録音。この4月に行われたレコーディングはすべてYusef Lateef、Curtis Fuller、Hugh Lawson、Ernie Farrow、Louis Hayesによるもの。『Jazz Mood』のみDoug Watkinsがパーカッションで参加。Yusefはテナーとフルートのみで、他メンバーも非西洋圏の楽器は用いずに比較的ストレートな作風。しかし、すべてYusef作曲の楽曲ということで、アフロ・アジア的な「Happyology」などを収録。
・Yusef Lateef / Before Dawn
1957年4月16日録音。Verveからリリースされた本作もSavoyの前2作同様のメンツで、そもそも版権はSavoy持ちと思われる。Parkerのカヴァー「Constellation」以外はYusefの作曲によるもの。この一連の3作で作曲能力も知らしめた。ラテン・ジャズの「Chang, Chang, Chang」、そしてアラビックな「Passion」、郷愁的な「Open String」、Yusefらしいチンドン的楽曲の「Before Dwan」。
・Yusef Lateef / Prayer To The East
1957年10月10日録音。Yusefは10月9日から11日の3日間でアルバム4枚分の録音をVan Gelderスタジオで行い、2枚がSavoyから、2枚がPrestigeからリリースされた。『東方への祈り』と題されたコブラのジャケット。の割にはこれ見よがしに中国の銅鑼が使われているものの、「Love Dance」が多少の東洋的音階が聴かれるが
比較的ストレートな作風。オープナーは師匠の十八番「A Night In Tunisia」。
・Yusef Lateef / Jazz And The Sounds Of Nature
1957年10月9日-10日録音。この3日間でのレコーディングはYusef Lateef、Wilbur Harden、Hugh Lawson、Ernie Farrow、Oliver Jackson。既にCurtis Fuller、Louis Hayesはニューヨーカーとなり、Yusefは遅れて1960年にニューヨークへ移る。各々が非西洋圏の楽器を持ちフリーに奏でる「The Sounds Of Nature」、「Gypsy Arab」もタイトル通りの東洋モチーフ。しかし銅鑼イコール東洋というイメージはかなり強いのだろう。
・The Yusef Lateef Quintet / The Sounds Of Yusef
1957年10月11日に録音された音源は『The Sounds Of Yusef』、『Other Sounds』としてPrestigeおよび傘下のNew Jazzからリリースされた。1958年以降はSavoy、Argo、Prestige/New Jazz、Riversideと複数のレーベルから並行して作品をリリースする(ことが許されたアーティストということだ)。本作では非西洋圏の楽器以外にも7UPの空瓶を吹いたり、膨らませた風船をしぼませて音を出したりと実験的に遊んでいる。

ボーナス・トラックが2曲追加されたBenny Sings『Champagne People』20周年スペシャル・リイシュー盤LPが入荷!
Benny Sings『Champagne People』(2003年 / 2023年 Reissue)
タイトなビートが堪らない「Unconditional Love」、独特の浮遊感にまどろむ「Dust」、そして至極のアフター・アワーズ・ワルツ「Champagne People」 と、デビュー・アルバムにして高度に完成されたポップソングが並ぶ。

Calm『Moonage Electric Ensemble』スペシャル・リイシュー盤が入荷!
初期代表作の一つである名曲「Light Years」を収録した、最高傑作アルバムとの呼び声高い名盤『Moonage Electric Ensemble』を、20年のときを経てCalm自身が再構築! オリジナル・ヴァージョンは全曲ミックスからやり直し、そのパーツから新しくダブ・ヴァージョンを制作、2CD/2LPとして蘇る。ミックスからマスタリングまで全てCalm本人が手がけた。

収録情報
Disc 1 (Original) - Brand New Mixdown and Mastering
1. Unseen Small Steps
2. Light Years
3. Noon at the Moon
4. The Other Side of the Moon
5. Tsukiyo
6. Between Worlds
7. Authentic Love Song
8. Oasis +ボーナストラック(SeahawksとLOVAの新作リミックス音源)を収録
Disc 2 (Moonage Daydream Dubs)
1. Unseen Small Steps - Daydream Dub
2. Light Years - Daydream Dub
3. Noon at the Moon - Daydream Dub
4. The Other Side of the Moon - Daydream Dub
5. Tsukiyo - Daydream Dub
6. Between Worlds - Daydream Dub
7. Authentic Love Song - Daydream Dub
8. Oasis - Daydream Dub
現行アルゼンチン・シーンがここ日本で注目される大きなきっかけとなった一枚がついに初アナログ化です!
HMV渋谷店で嬉々としてCDで購入したあの日から、約15年待ちました。その静かな輝きは、いまだ美しいままです。
2023年 7月 中村 智昭
MUSICAÄNOSSA / Bar Music Shibuya,Tokyo
通販はこちら!→https://barmusic.buyshop.jp
Yoshiharu Takeda『Before The Blessing』LP
揺らぎ、流れ、輪郭をあらわす幻想の音楽。
気鋭の音楽家、武田吉晴の4年振り待望のセカンド・フル・アルバム。
2018年に発表したファースト・アルバム『Aspiration』がCalmや井上薫から賞賛された、
東京在住、気鋭の作編曲家/鍵盤奏者にして選曲家としても活躍する武田吉晴。
アルバムを聴いた鈴木惣一朗(ワールドスタンダード)がその才能に惚れ込み、
自身がプロデュースするレーベル“Stella”からの新作をオファー。
4年の歳月をかけて制作された本作は、洗練の奥に潜む野性、静が内包する動を美しく表現し、
武田吉晴にしか創造できない音世界がさらに深化した素晴らしい内容。
■税込4,620円(税抜4,200円)
■レーベル:Stella
■発売・販売元:インパートメント
※Bar Musicにて好評販売中です!
Terry Callier誕生日の5月24日、当店オリジナルのスペシャルT-shirt発売!
Bar Music店主・中村智昭が組んだコンピレーションLP『Tokyo Moon』のジャケット写真を使用した、当店のみ販売のスペシャルT-shirt!
Photo by Rui Tsuguchi
Size: S/M/L/XL¥4800(税込)
テリー・キャリアー
ソウル、ジャズ、フォークの狭間をブルースと共に独自のスタイルで紡ぎ、2012年に帰らぬ人となった孤高のシンガー・ソング・ライター。
通販はこちら!→https://barmusic.buyshop.jp

現代ポーランド・ピアニズムの至宝、スワヴェク・ヤスクウケのアルバム群から超厳選の5曲を2023年4月26日に世界初アナログ化でリリースしました! 衝撃の「Sea I」、トリオでグルーヴする「Chili
Spirit」、美しき「Moments」.....。マスタリングは彼の大ファンだというCalmさんが手をあげてくださいました!
そして来日公演は5月13日土曜日、めぐろパーシモンホールにて!
2023年 5月 中村 智昭 MUSICAÄNOSSA / Bar Music Shibuya,Tokyo
〜以下、メーカー・インフォメーションより〜
現代ポーランド・ピアニズムの至宝、スワヴェク・ヤスクウケのCDオンリーのアルバム群から超厳選の5曲を世界初ヴァイナル化!
全音楽ファン必携の完全限定盤が、来日公演を目前にした絶好のタイミングでムジカノッサ・グリプスより4/26にリリース!
本国ポーランドでは2014年に、ここ日本では2016年にリリースされたアルバム『Sea』はジャズのみならず、ポスト・クラシカル/アンビエント/エレクトロニカ、例えばニルス・フラームやハウシュカ、ゴールドムンドといったアーティスト達が名を連ねるであろうピアノ・ソロ作の近代史においても、非常に稀有な光を放つ衝撃の作品でした。そのタイトル曲と言える「Sea
I」に、それ以前にトリオ名義でリリースされていたグルーヴィーな「Chili
Spirit」、永遠の美しさを湛えたバラード「Moments」という素晴らしい楽曲達を今回初めてアナログ化することができて、本当に嬉しいです。彼の音楽が、より様々な場所またはシーンで、より多くの人々の耳に届くことを心から願いながら選びました。6年ぶりの来日公演も、今から楽しみでなりません。(中村
智昭 MUSICAÄNOSSA / Bar Music Shibuya,Tokyo)
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A1.Sea I
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A2.Chili Spirit
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A3.Tokitura
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B1.Moments
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B2.Park I
スワヴェク・ヤスクウケ
1979年ポーランドはバルト海沿岸の最北部に位置するプツク生まれのジャズ・ピアニスト。若くしてサックス奏者ズビグニェフ・ナミスウォフスキのバンド・メンバーとしてデビュー。同時期にグダニスクで結成された人気バンド、ピンク・フロイトに初期サポート・メンバーとしても参加。ジャズのみならず、テクノ、パンク、フォークといった様々な音楽要素を消化しながら、2004年には自身のトリオ名義で『Sugarfree』をリリース。順調にキャリアを重ねる中でやがてピアノ・ソロというフォーマットにたどり着き、『Moments』『Sea』『Senne』『Park
Live』といった傑作を立て続けに生み出した。2023年5月13日には、めぐろパーシモンホールにて「POLISH PIANISM
Concert」来日公演を行う。

【初2LP化!】V.A.『Hydeout Productions 2nd Collection』
Nujabes 命日の2月26日、店頭入荷!
〜以下、メーカー・インフォメーションより〜
現代の音楽業界全体の流れとは別に、宣伝活動を行わず純粋に音=作品のリリースのみでリスナーから大きな支持を獲得した稀有のインディペンデント・レーベル「Hydeout
Productions」のレーベルのコレクション・アルバム第2弾「2nd Collection」が2LPでリリース。
それは、Nujabesのアルバム『Metaphorical Music』『Modal Soul』と平行して、よりレンジの広い作品・人選で綴られたHydeoutのもう一つの世界。
アルバム『Modal soul』から「Reflection Eternal」の別章とも言うべき存在である「Another
Reflection」等、レーベルのコレクション・アルバムでありながらNujabesの2nd Album『Modal
Soul』以降のレーベルの方向性を示した作品。
Nujabes / Voice Of Autumn
Nujabes / Sky Is Falling
Uyama Hiroto / Waltz For Life Will Born
Clammbon By Nujabes / Imaginary Folklore
Nujabes / Hikari
Nujabes / Counting Stars
Nujabes / Another Reflection
Nujabes / Fly By Night
Pase Rock / Old Light (Voices From 93 Million Miles Away Remix)
Emancipator / With Rainy Eyes
Shing02 / Luv(sic.) Modal Soul Remix
Uyama Hiroto / Windspeaks
DSK / Winter Lane (Nujabes Remix)
Nujabes / After Hanabi -Listen To My Beats
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品番 : HOLP007
フォーマット : 2LP
4年前に初アナログ化音源を中心にムジカノッサで組んだコンピレーション『Tokyo
Moon』の2ndプレス・エディションを、12月3日にリリースしました。「Truth In Tears 2」を追加収録、"Moon
White"カラー盤で特製ポスター付きの豪華仕様です!(中村 智昭)
〜Charles Stepney『Step On Step』入荷のお知らせ 〜
MUSICAÄNOSSA Top Reccomend ~ D/H3 usen for Cafe Apres-midi 2022 Early Autumn Selection(放送期間 8月29日~10月9日 毎週月曜18:00~26:00)
Charles Stepney『Step On Step』(2022年 / International Anthem)
もしも貴方がチャールズ・ステップニー(1931-1976)という名前を知らないとしても、キーファーやジョン・キャロル・カービーといった現行シーンの先端を行くアーティストたちにいま心を奪われているならば、この作品は絶対に耳にすべきだ。時を遡ること約50年前の1970年前後、シカゴのサウスサイドにあったという自宅の地下スタジオにてデモ的に多重録音されたこれらの楽曲は、間違いなく彼らが行き着こうとする場所に先んじている。
そして、もしも貴方がミニー・リパートンやテリー・キャリアー、またはアース・ウィンド&ファイアーという名前を知っているならば、やはりこの作品を絶対に耳にすべきだ。なぜならば彼らはその活動の最初期に、チャールズ・ステップニーという編・作曲家/プロデューサーの手によって世に送り出されたからだ。また、同時期のラムゼイ・ルイスやデルズといったすでに十分キャリアを重ねていた者たちも同様に、チャールズ・ステップニーのスコアと指揮に導かれ未踏の境地へと達していた。
そうしたことを踏まえて『Step On
Step』と向き合うとき、僕たちはついに偉大な音楽家の核心に迫ることができる。ニュー・ロータリー・コネクションに提供した稀代の名曲「I Am
The Black Gold Of The
Sun」のプロトタイプ「Black Gold」の鈍く、それでいてあまりに眩しい輝きはいったいどうだろう。僕は、胸の高鳴りを抑えることができない。
今回の初秋セレクションでは、リズムボックスに導かれる柔らかな音像からシュギー・オーティス「Pling!」をすぐに連想してしまった「Roadtrip」や、後にアース・ウィンド&ファイアーが歌い大ヒット曲となる「That's The
Way Of
The World」を選んだ。現代のポピュラー音楽史におけるミッシングリンクとも言える、これほどまでに貴重で尊い音源のマスターテープが、長期の間にほぼ劣化もせず無事に残されていた奇跡に感謝する。(Bar Music 店主 中村 智昭)
通販はこちら!→https://barmusic.buyshop.jp
青野賢一さんの書籍「音楽とファッション 6つの現代的視点」をWeb ShopにUPいたしました! Small Circle of Friends『Cell』LPも在庫ございます!→https://barmusic.buyshop.jp