毎週月曜日は、Bar Music店主である中村智昭が選曲する「USENチャンネル『D/H-3 usen for Cafe Apres-midi Summer 2012(放送期間7/9~9/2)Monday 18:00~26:00 by Tomoaki Nakamura」の放送を、リアルタイムで店内BGMとしてお聴きいただけます。
USENホームページ〜選曲リスト
東欧~北欧バルト海沿岸の国、エストニアの女性シンガー・ソングライター、マリ・カルクン。橋本さんがコンパイルした『ブルー・モノローグ Daylight At Midnight』収録曲「Kevadaimus 1951」で、その素晴らしい歌声を初めて耳にした方も多いのではないでしょうか? この『Vihmakono(ビヒマックヌー)』は2010年制作で、昨年日本盤としてリリースされて以来毎日のように聴いていたのですが、最近特に自身のアコーディオンによるインストゥルメンタル・ワルツ「Riinukese Valss」が好きで好きでたまりません。白夜の影響があるというエストニアの夏の彼女を想いながら、丁寧に本選曲リストにも加えました。リスナーのみなさんの、素敵なサマータイムのお供となりますように。
Bar Music店主の中村智昭も選曲に参加〜解説を寄稿した「usen for Cafe Apres-midi」の10周年を祝うコンピレイション『Haven't We Met?』。ハンドメイドのパッケージも好評、お店限定のスペシャル特典CD-R「usen for Cafe Apres-midi Monday Classics 2001-2011」をご用意してお待ちしております。
Benny Sings / Make A Rainbow
コンピレイション『Haven't We Met?』のライナーノーツより
これまでの音楽~またはポップ・ミュージックの歴史において、突出したメロディーや印象的なコード進行というものは、もしかするともう世に生み尽くされているのかもしれない──なんて途方もない想いに駆られてしまうことがある(何故だろう)。キンドレッド・スピリッツというオランダはアムステルダムに拠点を置くレーベルからアナログ・リリースされた、ベニー・シングスの1stアルバム『Champagne People』、そしてジャザノヴァのソナー・コレクティヴからワールド・リリースされた2ndアルバム『I Love You Benny Sings Live At The Bimhuis』を立て続けに手にしたとき、それは嬉しくも思い違いだったことにはっきりと気づかされた。それぞれのアルバムのラストをアフター・アワーズ的に飾るワルツ・ソングは音楽の持つ豊かさや穏やかさ、ピュアな愛のようなもので溢れ、確実に僕の中の何かを満たしたのだ。
当時まだ新興の小さなレーベルであったドックス・レコーズからデビューして間もなかったベニー・シングスを、真っ先に強い信念を持って世界にプレゼンしたキンドレッド・スピリッツに『Soul Purpose Is To Move You』という、名曲「Champagne People」を収録したコンピレイション・アルバムがある。これは、その作品におけるレーベルからのメッセージである。
「僕たちは、ファースト・フード化してゆくポップ・ミュージックに抵抗するためにここにいる。たとえば身体に良いものを食べたり、旅をしたり、本を読んだりするのと同じように、ひとは素晴しい音楽に出会うことで、もっと質の良い人生を送ることができるはず」
この文章は、つい先日届けられたばかりのベニー・シングス最新作『Art』のライナーノーツを執筆した際にも紹介させてもらったのだが、USENチャンネル「D/H-3 usen for Cafe Apres-midi」の放送開始10周年を祝う『Haven't We Met』にこそ、より相応しいのかもしれない。
「Make A Rainbow」──セレクターとして、音楽と共にある皆さんの未来に美しい虹がかかることを祈りながら。
2011年 5月 中村智昭
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