好評の「辛口海老カレー」や「特製チーズケーキ」「コーヒープリン」などもご用意しております。
廣瀬大輔が特定のカテゴリーを設定して、それはアーティストであったりレーベルであったりジャンルであったり。Bar Musicのサイトにコラムと当日プレイするレコードの中から6枚のディスクレヴュー、そしてDJでは、20時から23時までをテーマに沿ってプレイします。第22回のテーマは前回を踏まえた上での「Modal Jazz」です。(廣瀬大輔)
MUSICAÄNOSSA presents ANTHOLOGY <anthos+logia> VOL.22 Modal Jazz編
[DJ]廣瀬 大輔(ELLA RECORDS)
[at]渋谷 Bar Music
[info]03.6416.3307
http://barmusic-coffee.blogspot.com
※18:30オープン、着席の通常営業スタイルで20:00~23:00の開催です。Close:Midnight
※事前予約またはご来店前にお電話でテーブルをおさえていただけますと幸いです。
※消毒、お客様着席時のグループ別ソーシャルディスタンスの確保、換気など、ウイルス対策へのご理解とご協力をお願いいたします。
※Entrance Fee ¥1000
『「モーダル・ジャズ」という用語は、音楽学者やジャズの純粋主義者が定めた厳密な定義に必ずしも従ってはいませんが、ある特定のタイプのジャズ・レコードを定義する言葉として定着しています。「モーダル」とラベル付けされる楽曲の多くは、エキゾチックで東洋的な雰囲気を持っていたり、変拍子やワルツ・タイムを採用していたりする傾向があります。
(中略)
多くのジャズ・アーティストが厳密な意味でのモード・ジャズを掘り下げてきましたが、現在では「モーダル・ジャズ」という言葉は、かつてとは全く異なる意味合いを持つようになっています。』
と、理論的な演奏法、作曲法である「モーダル・ジャズ」を、受け手の体験的な感触による、彼の言葉をそのまま用いれば「厳密な定義(strictest forms)」でない「モーダル・ジャズ」である、と述べている。つまり、演者の手法ではなく聴者にもたらす体験を主として「モーダル・ジャズ」というラベルを貼り直した(Kirkによればそれは既に行われていた)。「どのような構造で作られた/演奏された楽曲か」ではなく、「聴き手にどのような体験を与える楽曲か」を基準に、意味の転換、あるいは拡張された「モーダル・ジャズ」を提案したのだ。これはDJ/選曲家らしい視点といえるだろう。
モーダル・ジャズが持つ(コード展開ではないための)解決に向かわず一所にとどまる浮遊感やループ感であったり、またモードが持つ長調でも単調でもない響きの非西洋的なエキゾチックさの(特にジャズで多く使われるドリアンの)要素を聴者が楽曲から見出し、ラベリングしたのがここでの「モーダル・ジャズ」である。この意味の拡張には功罪もあるだろう。Kirkも前書き部分で「厳密な定義でないモーダル・ジャズ」と断っているように、ある特定の雰囲気を持っていればモードを使用していなくても「モーダル・ジャズ」である、と言われてしまうとそれはやはり横暴であり、また「いや、モーダル・ジャズではない」と言われてしまえばその通り「モーダル・ジャズではない」のだ。すなわち誤用である。本来の定義からすると誤用ではあるのだが、その誤用が創造的な誤用であるかどうか。そこが擁護(あえて擁護という語を使うが)のポイントとなるだろう。
このリストが作成されたのは1990年代であり、その頃の海外では使用されていなかったジャズのサブ・ジャンルというか概念、または括りの1つに「スピリチュアル・ジャズ」というものがある。「スピリチュアル・ジャズ」という言葉が日本で使用され始めた際に(言葉自体は日本発生である)、その当初は公民運動に紐づけられた「ブラック・スピリチュアル」にほぼ限定されたものであったが、現在はより広義なものとなっている。ここでの「モーダル・ジャズ」についてKirkが語る概念が「スピリチュアル・ジャズ」の概念の拡大に繋がったのではと考える。ダンサブルであったことが求められた初期のクラブ・ジャズ・シーンにおける過去の楽曲の再評価の軸からずれながらも別の評価軸として提案された「モーダル・ジャズ」が「スピリチュアル・ジャズ」に繋がり、現行のジャズにおいても影響力を持っているのであれば、それは創造的であったと言えるのではないだろうか。また、ジャンルの拡張といった意味ではまた、ファンク、そしてヒップホップやKirkの主戦場であったテクノなどの留まり続けるグルーヴとの相性も非常に良かった。
このような元々持っていた単語の意味的拡張は普遍的に見られるが、音楽においては「アンビエント」や「ミニマル」といったジャンルを挙げなくとも、そもそも「ジャズ」はそのスタイルや意味を拡張していった。ただ「モード/モーダル」がそれらと違うのは、概念ではなくルールに基づいた言葉であることだ。ただ、「モーダル・ジャズ」自体もそれが取り入れられた1950年代から取り入れられ方は拡張している。また、1つの楽曲においてもモードの濃淡は存在し得る。「モード的な」「モードを取り入れた」といった言い方は可能である。というかそちらの方が多い。「モードを取り入れている」を広義に解釈した場合、現代ジャズにおいて「モードを取り入れていない」ジャズを探す方が難しいだろう。
というわけでモードとは何かとの詳細を述べずに「モード/モーダル・ジャズ」を語ったのであるが、初期にKirkが語ったように『厳密な定義でない』ことを踏まえつつ、『エキゾチックで東洋的な雰囲気を持っていたり、変拍子やワルツ・タイムを採用していたり』、ここで追加した留まりつつづけるベクトルを持った解決しないグルーヴは、「モードを取り入れていない」ってことはないと言ってしまってもよい訳で、例えば最近の変化球が複雑化した野球において解説者が「落ち球系ですね」「カット系ですね」、みたいな、これは何モード、ここは何の何モードとは言えなくとも「モード的ですね」とは言えそうな訳で、ただチェンジ・アップ全てを落ち球系というと、それはそれでなんか「落ち球系」はスプリット系が含意されてる気がしたり、「来ない系じゃなくてサークルかな」とか微妙な気もするので、難しく考えずとも聴感、体験に任せる部分と(「サークル・チェンジ」だって体感的には分かるし)、ただそれは本来的には厳密な(かつ拡張された)理論があるんだよ、ということを踏まえていれば、原理的なものと体感的なそれは共存できるのでは、と思っています。
【ディスクガイド】
映画監督Spike Leeの父であるベーシストのBill Leeが中心となったファミリー・バンド、The Descendants Of Mike And PhoebeによるStrata-Eastからリリースされた唯一作『A Spirit Speaks』。 Billy HigginsとSonny Brownが助っ人で参加。本アルバムに収録された「Coltrane」は、同じくStrataからのClifford Jordan Quarteによる『Glass Bead Games』、The New York Bass Violin Choirの『The New York Bass Violin Choir』にも収録されたモーダル・ジャズ・クラシックス。
アメリカ人サックス奏者のNathan Davisは退役後にそのままヨーロッパに残り、パリに定住。1965年にドイツSABAからファースト・アルバム『Happy Girl』とそれに続く『The Hip Walk』をリリース。ヨーロッパ在住時にはJef Gilson、Dusko Goykovich、Benny Bailey等の録音にも参加。本作はアメリカへの帰国前にパリで録音されたライヴ盤。Mal Waldron、Jimmy Wood、Art Taylorの在欧組によるカルテット。Freddie Hubbardの『Up Jumped Spring』は「モードを取り入れた」ワルツ・ナンバー。
イギリスのサックス奏者Don RendellとトランぺッターのIan Carrが率いる双頭クインテット。彼らのファースト・アルバム『Shades Of Blue』から、ピアニストがMichael Garrickに代わっての新生クインテットであり本格始動ともいえるセカンド『Dusk Fire』に続く3枚目。ベースはDave Green、ドラムスはTrevor Tomkin。Garrick自身のアルバムでも再演されアルバム・タイトルともなった中東的なエキゾチックさを持った「Black Marigolds」。
東ドイツの国営レーベルAmigaからリリースされたジャズ・クラリネット奏者Rolf Kuhnによる1966年作。 サックスMichael Urbaniak、ドラムCzeslaw Bartkowskのポーランド勢と、 ベースKlaus Koch、15歳上の兄であるピアノJoachim Kuhnによるクインテット。スウィング以降、ジャズの花形から後退していったクラリネットをコルトレーン・マナー以降のモダンジャズの潮流に乗せた彼のキャリアの切っ先となる1枚。
デンマークのジャズ・サックス奏者Carsten Meinertによるファースト・アルバム『To You』は、自主レーベルM.S.Recordsから1968年に500枚限定で発売された後、新たに共同設立したレーベルSpectator Recordsから翌年再リリース。ワルツ・タイムの「Blues To Someone」、アップな「Dansevise」、そしてColtraneの「Naima」のカヴァーで幕を開ける北欧随一のスピリチュアル・ジャズ・アルバムの1つ。
ブラジルのドラマーEdison Machadoによるクインテットの1970年作『Obras』。個人的には00年代初頭のWahtmusicの再発でその存在を知り、かなり(かなり)前に渋谷のDisk Unionさんの地下で売られているのを指をくわえてみていたんですが、値札の色変わりで割引になった瞬間に奮発して買った思い出。ボサノヴァのカヴァーもかなりポスト・バップ的な演奏。そしてオリジナルの疾走系「Mr. Machado」。
ブラジルで活躍するキューバ人音楽家ヤニエル・マトスのインテリジェンス溢れる傑作アルバム『La Mirada』に収録された名曲 「Habana」 が7インチで初のアナログ・レコード化! フリップには中村智昭 (MUSICAÄNOSSA / Bar Music) とアズマリキ (Small Circle of Friends / Studio 75) の スペシャル・ユニット MUSICAÄNOSSA 75 によるリミックスを収録!
YANIEL MATOS ヤニエル・マトス
Habana / Habana (MUSICAÄNOSSA 75 Remix)
MUSICAÄNOSSA GRYPS / JPN / 7"(レコード) / MNGP29 / 1008967620 / 2025年03月05日
ソングリスト
キューバ出身でサンパウロ在住、キューバ音楽だけでなくブラジル音楽にも深く傾倒した、異色のチェリスト兼ピアニストであるヤニエル・マトス (Yaniel Matos)。彼の2014年の傑作アルバム 『La Mirada』 に収録され、多くの人々を魅了したリード曲 「Habana」 が7インチで初のアナログ・レコード化。キューバの首都ハバナの活気や情熱、そしてノスタルジックな雰囲気が美しく表現された名曲です。B面には中村智昭 (MUSICAÄNOSSA / Bar Music) とアズマリキ (Small Circle of Friends / Studio 75) によるスペシャル・ユニット MUSICAÄNOSSA 75 によるリミックスを収録。原曲が持つ熱量をより現代的に再解釈し、ヒップホップ〜バレアリック、または様々なチルアウト・シーンにもマッチする、DJサイドへのアプローチが鮮やかな最高の仕上がりとなっています。