好評の「辛口海老カレー」や「特製チーズケーキ」「コーヒープリン」などもご用意しております。
廣瀬大輔が特定のカテゴリーを設定して、それはアーティストであったりレーベルであったりジャンルであったり。Bar Musicのサイトにコラムと当日プレイするレコードの中から6枚のディスクレヴュー、そして自分のDJではテーマに沿ってプレイします。第25回のテーマはフェンダー・ローズ、ウーリッツァーといった「エレクトリック・ピアノとジャズ」です」です。(廣瀬大輔)
MUSICAÄNOSSA presents ANTHOLOGY <anthos+logia> VOL.25 エレクトリック・ピアノとジャズ編
[DJ]廣瀬 大輔(ELLA RECORDS)・中村智昭(MUSICAÄNOSSA / Bar Music Shibuya,Tokyo)
[at]渋谷 Bar Music
[info]03.6416.3307
http://barmusic-coffee.blogspot.com
※18:30オープン、着席の通常営業スタイルで20:00~23:00の開催です。Close:Midnight
※事前予約またはご来店前にお電話でテーブルをおさえていただけますと幸いです。
※消毒、お客様着席時のグループ別ソーシャルディスタンスの確保、換気など、ウイルス対策へのご理解とご協力をお願いいたします。
※Entrance Fee ¥1000
ジャズにおける「電気の鍵盤」の受容の歴史は、エレクトリック・ピアノ(以下エレピ)ではなく、まず「ハモンド・オルガン」から始まった。1930年代に開発されたハモンド・オルガンは、1950年代に入るとJimmy Smithらによってジャズの表舞台へと躍り出る。これは、管楽器に負けないロング・トーン、シンセでいえばサスティンと呼ばれるところの「減衰しない音」の確保であり、またロックン・ロールなどの音楽が持つ音圧の熱狂性への対抗でもあった。
エレピに話を戻そう。ジャズにおけるエレピの最も早い導入者はSun Raである。1956年に録音されたアルバム「Angels And Demons At Play」や「Super-Sonic Jazz」で、1954年に登場したばかりのウーリッツァーを使用した。ここには、Sun Ra特有の美学である「未来感」や「異質感」の表現はもちろんのこと、彼らの流動的な移動に耐えうる「ポータブル性の良さ」という実践的な理由もあったであろう。しかしながら、当時の聴衆にとっては「色物」としての印象が先立っていたことは(Sun Raに対する認識自体もそうであったであろうが)想像に難くない。
オルガンとは異なり、アコースティック・ピアノ的な打鍵の表現力を保持しながらも、電気楽器ならではのダイナミクスや歪みを表現できる鍵盤楽器として、エレピはジャズに取り入れられていった。Ray Charlesによる使用などに伴って、エレピはゴスペルやブルースに根ざした「ファンキーさ」を獲得していく。その中でジャズへの受容を決定づけた最大のヒット作がCannonball Adderley率いるグループでJoe Zawinulが作曲し、自身がウーリッツァーを演奏した1966年の「Mercy, Mercy, Mercy」であった。
Miles Davisは1968年のアルバム「Miles In The Sky」でエレピを導入し「Stuff」では8ビートを用いたジャズ・ロック・アプローチを見せた。続く「Filles De Kilimanjaro」を経て、1969年の「In A Silent Way」によって、彼のエレクトリック期への移行が確立される。「In A Silent Way」はリリース当時、多くの批評家からジャズではなくロック的な作品とみなされていたが(もちろんMilesもそれを狙っていた)、2000年代以降は「プロト・アンビエント」作品として評価されることが多い。ここではエレピ特有のアタック音によるファンキーさではなく、Herbie Hancock、Chick Corea、Joe Zawinul(Zawinulはオルガンを演奏)という3人のキーボーディストが出す減衰しない残響による空間的なアプローチがその評価の所以の1つである。
エレピのアタック感と電気的歪みは、Milesの「Bitches Brew」以降の系譜を継ぐHerbie Hancockの「Head Hunters」やChick CoreaのReturn To Foreverなどに代表されるフュージョンにおいて「ファンキー/グルーヴ路線」として機能した。そして一方で、残響表現の系譜による「空間/アンビエント路線」は、例えばECM作品群に代表されるように、その音響世界を立ち上げた。しかし、エレピの受容史において最も重要だったのは、こうした極端なスタイル論を超えて、エレピが日常的な鍵盤楽器としてジャズの現場に溶け込んだことかもしれない。例えばSteve KuhnやBill Evansといったピアニストたちは、アコースティック・ピアノとは異なる表情を持つ鍵盤楽器として選択した。彼らは過剰な歪みや装飾を排し、その暖かみのあるトーンでリリカルに奏でてみせた。「Miles In The Sky」のレコーディング時、スタジオに置かれたフェンダー・ローズを見て、Hancockが「俺にあのオモチャを弾けって言うのか?」と困惑したというエピソードを遠くに振り返るとき、エレピは鍵盤楽器として普遍性を得たのである。



中村 智昭(MUSICAÄNOSSA / Bar Music Shibuya,Tokyo)
1977年広島生まれ。渋谷「バー・ミュージック」店主。1995年にDJをスタートし、1999年より「ムジカノッサ」を主宰。選曲家としてユニバーサル/ビクター/インパートメント/キング/コアポート/ディスクユニオンよりコンピレイションCDやヴァイナルをリリース、ディスクガイドの企画・監修も手掛けると共にUSENやFM各局にも選曲を提供。音楽ライターとしては様々な時代とジャンルのアルバムのライナーノーツや、リットーミュージック「Jazz Next Standerd」シリーズ、シンコーミュージック「Tokyo Moon」への寄稿など。CALMベスト・アルバム『Mellowdies for Memories』(ラストラム)の選曲とその解説も担当している。また、渋谷「カフェ・アプレミディ」にて1999年のオープンから2009年までの10年間店長も務めた。2010年渋谷に「バー・ミュージック」をオープン。2013年にはレーベル「ムジカノッサ・グリプス」をスタート。晩年のテリー・キャリアーのCDオンリー音源から厳選し世界初ヴァイナル化した『Tokyo Moon』や、コンピレーションCD+7”EP『Bar Music』シリーズ、現代ポーランド・ピアニズムの至宝スワヴェク・ヤスクウケのアルバム群から5曲を世界初アナログ化した『MUSICAÄNOSSA
SLAWEK JASKULKE』なども好評。最近ではSmall Circle of
FriendsアズマリキとのユニットであるMUSICAÄNOSSA
75名義で、ブラジルで活動するキューバ人音楽家ヤニエル・マトスの名曲「Habana」のリミックスも手がけた。http://barmusic-coffee.blogspot.com/